グラスライニングメーカーのGL HAKKO

グラスライニングの性能・特性

当社グラスライニングの腐食チャート

当社標準グラスの代表的な酸とアルカリの腐食チャートを示します。

塩酸(Hydrochloric Acid)

塩酸は化学工業において最も多く使用される酸である一方、機器材料を最も激しく腐食させる酸でもあります。”Octa88-200″は、この腐食性の酸に対して極めて優れた耐食性を示します。

この腐食チャートが示すように、低濃度域では、1%のところに耐食性のピークがあり、10%で最低となりますが、10%を超えると耐食性は急激に増加します。このチャートは、臭化水素酸、沃化水素酸、クロル酢酸にも適用できます。

りん酸(Phosphoric Acid)

りん酸に対するグラスの腐食は、他の酸に対する腐食と著しく異なります。通常グラスは酸の濃度が増すにつれて耐食性は増加しますが、りん酸の場合は濃度が増すにつれて耐食性は逆に低下します。

りん酸はしばしば不純物としてふっ素を含有しているので、一週間以上の長期の腐食試験が必要です。

硫酸・硝酸・酢酸(Sulfuric Acid・Nitric Acid・Acetic Acid)

何れも低濃度に耐食性のピークがあり、20%付近に耐食性の最低値があります。20%をこえると濃度の増加と共に耐食性は増加します。このチャートは、亜硫酸・亜硝酸にも適用できます。酢酸は有機物(カルボン酸)の代表例として加えました。

硫酸の腐食チャートの点線はグラスライニング機器の使用限界温度をしめしています。

アルカリ(Alkalis)

室温であれば如何なるpH値に対しても使用できますが、温度が高くなるにつれてグラスの耐アルカリ性は低下します。

苛性ソーダ、苛性カリのpH14以上での最高使用温度は濃度10%で66℃、20%で60℃、30%で57℃、50%で54℃です。

中和操作の場合、pH13で100℃まで許容されます。アルカリ溶液やアルカリ固形物を缶内に挿入する時は、グラス面に付着したり局部的に過熱状態にならないよう缶内液を撹拌しながら、出来るだけ缶の中心部に注入するよう心掛けて下さい。

またプロセス条件が、完全な無水の状態であればふっ素化合物を除く有機金属化合物はグラスに影響を与えません。

水(Water)

水の沸点以下の温度では、液相・気相ともに完全な耐食性を示しますが、一般的に沸点以上になると液相・気相とも150℃が使用限界です。

耐食性の良好グラスは必ずしも同時に耐水性も良いとは限りませんので注意が必要です。

ふっ化物(Fluoride)

一般的にふっ化物は痕跡量であっても注意が必要です。りん酸、りん酸化合物、塩酸や硫酸の再生酸の中にはふっ化物が含まれていることがあります。

これらの液を使用する場合は、前以て腐食試験を行わなければなりません。

塩類(Salts)

塩類(ふっ素塩類を除く)の腐食性は溶液のpHに関係します。例えば個体の塩化ナトリウムは中性ですが、塩化ナトリウム水溶液には水としての腐食性があります。また、塩化アルミニウムは水と反応して塩化水素を発生させるため、塩酸の腐食チャートが参考になります。

有機溶剤(Organic Solvents)

有機溶剤に対しては、グラスライニング機器の運転温度限界まで完全な耐食性を示します。しかし、ヘキサン、キシレン、トルエン、ベンゼン、ヘプタンの単独液、他の液体との混合液、あるいは固体との混合液などの低い誘電率の液体は、液体中、液体と気体間、液体と容器壁、あるいはアクセサリー間で静電気放電を起こします。このスパークは発火性蒸気の発火、あるいはグラス面に亀裂またはピンホールを発生させることがありますので注意が必要です。

グラスの物理的特性について

当社標準グラスの代表的な物理的特性を示します。

グラスの物理的性質 Physical Properties of “Octa88-200″Glass

比重 Specific Gravityg/cm³2.50~2.70
比熱 Specific HeatJ/kg・K837
熱伝導率 Thermal ConductivityW/m・K0.87~1.04
硬度 Hardnessモース・スケール Mohs’ Scale5.5
硬度 Hardness ビッカース硬度 HV520~580
表面粗さ Surface Roughnessμm0.08~0.20
密着強度 Adhesion Strength(グラス-鋼 Glass-Steel) kg/mm²>10
引張強度 Tensile StrengthN/mm²68~88
圧縮強度 Compression StrengthN/mm² 800~1200
弾性係数 Modulus of ElasticityN/mm² 49×10³~127×10³
電気抵抗 Electrical ResistivityΩcm1012~1014
絶縁強度 Dielectric StrengthKV/mm20~30

熱衝撃抵抗 Thermal shock Resistance

グラスライニング機器のグラスの熱衝撃抵抗は、グラス面の圧縮応力と密接な関係があります。すなわち圧縮応力が大きいと、熱衝撃抵抗は大きくなります。また圧縮応力は温度が上昇すると減少します。したがって急熱、急冷に対する許容温度差は常に壁温に左右されますが、この許容温度差は容器の大きさ、形状、作業状況などによって影響されます。右図は、異なった作業状態の場合の最大許容温度を求める方法を示すものです。但し、15m³までの標準型缶体に適用するものです。

グラスの耐電圧と電圧試験 High Voltage Test

グラスの品質を保証するために、工場ではAC20、000Voltの電圧試験を行いますが、この電圧試験は破壊試験なので試験にあたっては注意が必要です。お客様の現地ではAC5,000Voltを使用します。DCの使用はグラス層に静電荷が蓄積されるため、お薦めできません。

グラスの厚み、温度、破壊電圧の関係を図に示します。

許容温度について

当社グラスライニング機器の許容温度について示します。

容器内に液を注入する場合(チャートA)

(例1)熱い容器(Tw=180℃)に冷たい液を注入する場合の最小許容温度(Tp<Tw)

手順

  1. チャートAの横軸線上の壁温Tw180℃を読む
  2. 180℃の点に垂線を立て青線との交点を求める
  3. 青線との交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tpを読む Tpmin=70℃

(例2)冷たい容器(Tw=20℃)に熱い液を注入する場合の最大許容温度(Tp>Tw)

手順

  1. チャートAの横軸線上の壁温Tw20℃を読む
  2. 20℃の点に垂線を立て赤線との交点を求める
  3. 赤線との交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tpを読む Tpmax=155℃

チャートA:種々の缶壁温度Twに対する仕込み液の許容温度Tp

SLA材にライニングした場合

Tp:注入液温度

Tw:缶壁の温度

冷たい容器に熱い液を注入する場合(Tp>Twの場合)Tw:缶壁の温度

熱い容器に冷たい液を注入する場合(Tp<Twの場合)Tw:缶壁の温度

容器内をジャケットより加熱・冷却する場合(チャートB)

(例1)熱い容器(Tw=200℃)のジャケットの中へ冷媒を入れる時の最小許容温度(Tj<Tw)

手順

  1. チャートBの横軸線上の缶壁温度Tw200℃を読む
  2. 200℃の点に垂線を立て青線との交点を求める
  3. その交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tjを読む Tjmin=65℃

(例2)冷たい容器(Tw=30℃)のジャケットの中へ熱媒を入れる時の最高許容温度(Tj>Tw)

手順

  1. チャートBの横軸線上の缶壁温度Tw30℃を読む
  2. 30℃の点に垂線を立て赤線との交点を求める
  3. チャートBの横軸線上の缶壁温度Tw200℃を読む
  4. 200℃の点に垂線を立て青線との交点を求める
  5. その交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tjを読む Tjmax=170℃

チャートB:種々の缶壁温度Twに対するジャケット加熱あるいは冷却の許容温度Tj

SLA材にライニングした場合

Tj:熱媒または冷媒の温度

Tw:缶壁の温度

加熱(Tj>Twの場合)

冷却(Tj<Twの場合)

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