グラスライニングの性能・特性
グラスライニングの腐食チャート
当社標準グラス“200SERIES” に対する代表的な酸とアルカリの腐食チャートを示します。
この腐食チャートは、1日24時間連続テストの結果から計算された年間腐食速度です。年間腐食速度が 0.1 mm/year 以下の場合は、耐用年数は5年以上の完全腐食の範囲になります。なお、0.1~0.2 mm/year の場合は 2~5年、0.2 mm/year 以上の場合は1~2年、あるいはそれ以下の耐用年数になります。
■ 塩酸
塩酸は化学工業において最も多く使用される酸である一方、機器材料を最も激しく腐食させる酸でもあります。“200SERIES” は、この腐食性の酸に対して極めて優れた耐食性を示します。
この腐食チャートが示すように、低濃度域では 1%のところに耐食性のピークがあり、10%で最低となりますが、10%を超えると耐食性は急激に増加します。
このチャートは、臭化水素酸、沃化水素酸、クロル酢酸にも適用できます。

■ りん酸
りん酸に対するグラスの腐食は、他の酸に対する腐食と著しく異なります。通常、グラスは酸の濃度が増すにつれて耐食性は増加しますが、りん酸の場合は濃度が増すにつれて耐食性は逆に低下します。
りん酸はしばしば不純物としてふっ素を含有しているので、一週間以上の長期の腐食試験が必要です。

■ 硫酸・硝酸・酢酸
何れも低濃度に耐食性のピークがあり、20%付近に耐食性の最低値があります。20%をこえると濃度の増加と共に耐食性は増加します。このチャートは、亜硫酸・亜硝酸にも適用できます。酢酸は有機物(カルボン酸)の代表例として加えました。



■ アルカリ
室温であれば如何なるpH値に対しても使用できますが、温度が高くなるにつれてグラスの耐アルカリ性は低下します。
苛性ソーダ、苛性カリのpH 14以上での最高使用温度は濃度10%で66℃、20%で60℃、30%で57℃、50%で54℃です。
中和操作の場合、pH 13で100℃まで許容されます。アルカリ溶液やアルカリ固形物を缶内に挿入する時は、グラス面に付着したり局部的に過熱状態にならないよう缶内液を撹拌しながら、出来るだけ缶の中心部に注入するよう心掛けて下さい。
またプロセス条件が、完全な無水の状態であればふっ素化合物を除く有機金属化合物はグラスに影響を与えません。

■ 水
水の沸点以下の温度では、液相・気相ともに完全な耐食性を示しますが、一般的に沸点以上になると液相・気相とも150℃が使用限界です。
耐食性の良好グラスは必ずしも同時に耐水性も良いとは限りませんので、注意が必要です。
■ ふっ化物
一般的にふっ化物は痕跡量であっても注意が必要です。りん酸、りん酸化合物、塩酸や硫酸の再生酸の中にはふっ化物が含まれていることがあります。
これらの液を使用する場合は、前もって腐食試験を行わなければなりません。
■ 塩類
塩類(ふっ素塩類を除く)の腐食性は溶液のpHに関係します。例えば、個体の塩化ナトリウムは中性ですが、塩化ナトリウム水溶液には水としての腐食性があります。また、塩化アルミニウムは水と反応して塩化水素を発生させるため、塩酸の腐食チャートが参考になります。
■ 有機溶剤
有機溶剤に対しては、グラスライニング機器の運転温度限界まで完全な耐食性を示します。しかし、ヘキサン・キシレン・トルエン・ベンゼン・ヘプタンの単独液、他の液体との混合液、あるいは固体との混合液などの低い誘電率の液体は、液体中、液体と気体間、液体と容器壁、あるいはアクセサリー間で静電気放電を起こします。このスパークは発火性蒸気の発火、あるいはグラス面に亀裂またはピンホールを発生させることがありますので注意が必要です。
グラスの物理的特性について
下記項目では、当社標準グラス“200SERIES” に対する代表的な物理的特性を示します。
“200SERIES”グラスの物理的性質
| 物理的性質 | 単位 | 数値 |
|---|---|---|
| 比重 | g/cm³ | 2.50 ~2.70 |
| 比熱 | J/kg・K | 837 |
| 熱伝導率 | W/m・K | 0.87 ~1.04 |
| 硬度 | モース・スケール | 5.5 |
| 硬度 | ビッカース硬度 HV | 520 ~ 580 |
| 表面粗さ | μm | 0.08 ~ 0.20 |
| 密着強度 | (グラス- 鋼) kg/mm² | > 10 |
| 引張強度 | N/mm² | 68 ~88 |
| 圧縮強度 | N/mm² | 800 ~1200 |
| 弾性係数 | N/mm² | 49 ×10³ ~127 ×10³ |
| 電気抵抗 | Ωcm | 1012 ~ 1014 |
| 絶縁強度 | KV/mm | 20 ~ 30 |
熱衝撃抵抗
グラスライニング機器のグラスの熱衝撃抵抗は、グラス面の圧縮応力と密接な関係があります。すなわち圧縮応力が大きいと、熱衝撃抵抗は大きくなります。また、圧縮応力は温度が上昇すると減少します。したがって、急熱・急冷に対する許容温度差は常に壁温に左右されますが、この許容温度差は容器の大きさ・形状・作業状況などによって影響されます。
許容温度について
下図は、異なった作業状態の場合の最大許容温度を求める方法を示すものです。但し、15 m³までの標準型缶体に適用するものです。
- 容器内に液を注入する場合
| 【例1】 熱い容器(Tw = 180℃)に冷たい液を注入する場合の 最小許容温度(Tp<Tw) | 【手順】 ① チャートA-1 の横軸線上の壁温Tw 180℃を読む ② 180℃の点に垂線を立て青線との交点を求める ③ 青線との交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点 Tpを読む (Tpmin = 70℃) |
| 【例2】 冷たい容器(Tw =20℃)に熱い液を注入する場合の 最大許容温度(Tp>Tw) | 【手順】 ① チャートA-1 の横軸線上の壁温Tw 20℃を読む ② 20℃の点に垂線を立て赤線との交点を求める ③ 赤線との交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点 Tpを読む (Tpmax = 155℃) |
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- 容器内をジャケットより加熱・冷却する場合
| 【例1】 熱い容器(Tw = 200℃)のジャケットの中へ 冷媒を入れる時の最小許容温度(Tj<Tw) | 【手順】 ① チャートB-1 の横軸線上の缶壁温度Tw 200℃を読む ② 200℃の点に垂線を立て青線との交点を求める ③ その交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tjを読む(Tjmin = 65℃) |
| 【例2】 冷たい容器(Tw = 30℃)のジャケットの中へ 熱媒を入れる時の最高許容温度(Tj>Tw) | 【手順】 ① チャートB-1の横軸線上の缶壁温度 Tw 30℃を読む ② 30℃の点に垂線を立て赤線との交点を求める ③ その交点から横軸に平行線を引き縦軸と交わる点Tjを読む(Tjmax = 170℃) |
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グラスの耐電圧と電圧試験
グラスの品質を保証するために、工場ではAC 20,000 Voltの電圧試験を行いますが、この電圧試験は破壊試験なので試験にあたっては注意が必要です。お客様の現地ではAC 5,000 Voltを使用します。
DCの使用はグラス層に静電荷が蓄積されるため、お薦めできません。
グラスの厚み、温度、破壊電圧の関係を図に示します。
